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Q. |
『百人一首』って少しも面白いと思わないんですが、どこが魅力なんでしょうか? また、好きになるにはどうしたらいいのでしょうか?(12/7更新) |
A. |
百人一首の魅力の一つは、すぐれた恋の歌がたくさんあることです。「しのぶれど 色に出でにけり わが恋は 物や思ふと 人の問ふまで」。これは、たいらのかねもり平兼盛の歌。ひそかに恋い慕っているのに、その人のことばかり考えているので、ヘマをしたり、食欲がなかったり、顔色が悪かったりします。周りの人に、「最近、あなた変よ、恋をしてるの?」と聞かれてしまう。こういう経験ありますね。そんな状況がうまく出ている歌です。
あるいは、とっても好きな男の子が急に転校していなくなっちゃった時に、もう一回だけでいい、あいたい、って思うでしょ。そんな気持が強くなると、「あらざらむ
この世のほかの 思ひ出に いまひとたびの あふこともがな」という百人一首の歌の気持ちがぴったりきます。死ぬ前にこの世の思い出として愛する人に一目でいいから逢いたい。よくわかる気持ちです。和泉式部の歌。
恋をすると、いろんな気持ちが沸き起こります。百人一首の歌は、そんなさまざまな恋の気持を代弁してくれます。自分の悩みを代弁してもらった時の気持は格別です。「分かるよ、あなたの気持」って、昔の人にやさしく言われているような気がします。
四季の歌も、魅力的。日本のように四季があると、折々の自然に触れては、感動します。「白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける」。 秋の野に白露が一面に降りています。秋風が吹いて、それが一斉に乱れ飛ぶ、そんな様子を歌ったもの。真珠のような白露が辺り一帯に飛び散る情景が見えてきます。
百人一首は、必ず声に出して読んで下さい。目で読んだだけの時には味わえなかったイメージが眼前に広がってきます。韻文は、リズムを楽しむものです。声に出して百首を読み上げ、あなたの好きな歌を一つだけ選んでください。選べた時に、あなたは百人一首の歌の意味を、知らないうちに理解していたことに気づくでしょう。
(以上は、私の監修した『よくわかる百人一首』 からです。) |
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