『日本語の歴史』(岩波新書)

山口 仲美
著者からのメッセージ

日本語は、どんなふうに歩んできたのでしょうか。それを知りたくても、一般向けに分かりやすく書かれた本がないのです。私は、一般の人にも、分かってもらえるような日本語の歴史の本を書きたくなりました。それが、この本です。読み物として最後まで楽しんでいただきたくて、語りかけ口調で書きました。
文字がなかった時代に、中国の漢字にめぐり合い、どのようにして日本人のものにしてきたのか? 現在の漢字かな交じり文をどのようにして生み出してきたのか? 同じ日本人が書いたものなのに、なぜ、昔の書物が読めないのか? いつから東京語が日本語の代表になったのか? 
これらの疑問を解き明かす方向で、この本を書きました。寝ても醒めても、日本語の歴史を考えているうちに、私は、日本語を深く愛している自分に気がづきました。遠い昔の日本人の熱い血と切なる思いを感じてしまったのです。その熱い思いを皆さんにもお伝えできればと思っています。

(『図書』684号、2006年4月刊に掲載したもの)

岩波新書『日本語の歴史』目次

日本語がなくなったら 

T 漢字にめぐりあう―奈良時代―

U 文章をこころみる―平安時代―

V うつりゆく古代語―鎌倉・室町時代―

W 近代語のいぶき―江戸時代―

X 言文一致をもとめる―明治時代以降―

日本語をいつくしむ 

参考文献

あとがき