Q. |
次の短歌の□部分に、後ろに掲げた五つの擬音語・擬態語の中から、最もふさわしいと思われるものを一つ選んで入れてみてください。
□□□□と 君に抱かれて いるような
グリンのセーター 着て冬になる
俵万智
1 ふんわり
2 こんもり
3 がっしり
4 たっぷり
5 さっくり |
A. |
正解は「4たっぷり」。「たっぷりと君に抱かれているようなそんな気持ちになるセーター。それを着ると、ああ冬になったと感じるの」といった意味の歌です。「たっぷり」は、物の量が余るほどたくさんあったり、事柄の程度が少しも不足を感じさせないほど充分あったりする様子を表します。大きさも暖かさも充分なセーター。そしてそんなセーターに包まれる充足感や安心感。「君に抱かれている」時の気持ちと同じものをセーターはくれる。物質的な「たっぷり」と、心情的な「たっぷり」です。肌寒さを感じて袖を通したせーターが、彼からの抱擁を思い起こさせ、幸福感を与えてくれます。
「4たっぷり」以外の語を当てはめてみましょう。「1ふんわり」は、柔らかく軽い衣類などで包まれる様子を表します。幸せ感はでますが、抱きしめてもらえる安心感は出ません。「2こんもり」は、樹木や土や雪などがひとかたまりになって丸く盛り上がっている様子を表します。ですから、包むことが出来ないので、不可です。「3がっしり」は、力強くたくましく抱きしめる様子にはふさわしいのですが、肝心のセーターの質感とはちぐはくすぎます。「5さっくり」は、普通は揚げものが軽くおいしそうに揚がっている様子に使います。でも、目が粗く軽いセーターの質感を表すこともできます。ただし、今度は「君に抱かれているような」という比喩にはつながらなくなってしまいます。こうして「たっぷり」が最もふさわしいことになります。
『「擬音語・擬態語」使い分け帳』(山海堂)より |
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